台風が本州に今夜上陸しようという本日、柳家花緑落語独演会に行ってきました。
座布団の上の限られた空間が、まるでバーチャル・リアリティの様に広がりを感じさせる
見事な演技と笑いの空間になりました。
人情話で、できた女房と役者の旦那のやりとり、その絶妙な間。
心の中が読み取れるその表情、仕草、声のトーンと強弱。
それらを駆使して3、4名の登場人物をたった1人で演じるところは、まさに職人芸です。
■演目
前座の方の、馴染みのある「たぬきの恩返し」の後、
花緑師匠が登場。30分ぐらいの少し長めのまくらの後、演目は、
・親子酒:親子で酒を絶つと決心して、2週間もすると、両人ともまた酒に手を染めてしまうお話。
詳細なあらすじはこちら。
師匠ご本人は酒が一滴も飲めないそうです。
そうとは全然感じさせない、迫真の演技でした。
・目黒のさんま:お殿様が、目黒で庶民の食べ物であるさんまに魅了されてしまうというお話。
お殿様と、家来のやりとりが見事です。 詳細なあらすじはこちら。
中入りを挟んで
・中村仲蔵(なかむらなかぞう):やっと認められた役者の地位、名代に抜擢されたと思ったら、
あまり良い役を与えられず、腐っていた仲蔵に、女房のおきしが内助の功を発揮して励まし、
認められ成功するという人情話。
夫婦の味のあるやりとりに息を飲みました。 詳細なあらすじはこちら。
目黒のさんま以外は、初めて聴く演目で、落語の奥深さを感じました。
■ハプニング発生にも動じず
目黒のさんまの演目に入る直前に、会場の携帯電話から一斉鳴り響くハプニングがありました。
台風による緊急警報でした。
完全に電源を切らずにマナーモードにしていた人たちの携帯からです。
内容は、近くの川が台風の影響で危険水位に近づいているという警告だったようです。
花緑師匠は少しも動じず、逆にそこから笑いをとる余裕も見せてました。
会場に来られている人で、その近くのかたがいらっしゃるかどうかの気遣いもされていました。
そこは、さすがです。
感心したのは、次の師匠の言葉です。
「落語家はシェフと同じなんです。あくまでお客さんが主役です。
お客さんにいかに喜んでもらう料理を提供できるかなんです。
先ほどの携帯も、それにより自分の芸の妨げ云々よりは、
お客様がそれで気分を害さないようにするにはどうすべきかがまず第一です。」
言葉は一字一句正確ではないですが、そのような内容のことをおっしゃっていました。
やはり、一流の芸人さんはお客様ファーストなのだと感じました。
もう1つ、心に残ったお話は、母方の祖父にあたる5代目柳家子さんのエピソードです。
「万事、素直」という言葉を大切になさっているとか。
自分に素直な心があれば、指導を受ける際に、コップの水がからの状態で教わるので、
スーと入ってくる。なので、飲み込みも早い。
これは、自分がコーチングを受ける時などには心がけたいと思いました。
鵜呑みにしすぎるのも良くないですが、基本は素直でいたいものです。
会場で始まる前にサイン会もあり、ご自身がゴーストライターを使わずに
初めて4年もかけて書いたとおっしゃる本、
「花緑の幸せ入門 「笑う門には福来たる」のか?~スピリチュアル風味~ (竹書房新書)」
の宣伝もされてました。
その場では購入しませんでしたが、自分の読みたい本リストに入れました。