こんにちは。生涯挑戦!をモットーにシニア世代を応援する、こうちゃんです。
「先行き不透明な時代に前向きに生きていくにはどういった能力が必要なのだろうか」
という問いかけは、誰しもが漠然と感じているのではないでしょうか。
私もそうです。そんな人におすすめの「問題発見力を鍛える」細谷功著という本を忘備録としてまとめたので紹介します。
筆者によると、それは「問題発見能力」であると言います。与えられた問題を処理する能力よりむしろ「能動的問題を発見していく能力こそ将来を切り開くチャンス」という主張が興味深い本でした。
この本の内容を自分なりに一言でまとめると:
「偏在を正の問題に変換し問題発見能力を向上」となります。なんのこっちゃ?と思うかもしれません。詳しく説明します。
■「問題発見力を鍛える」の概要と特に印象に残ったポイント
まずどんな内容なのかの概要を見るのには目次がわかりやすいです。5つの章から構成されています。
”第1章 なぜ問題発見力が問われる時代になったのか
第2章 問題発見は常識を疑うことから始まる
第3章 問題発見とは新しい「変数」を考えること
第4章 「具体と抽象」を駆使して自分の頭で考える
第終章 問題発見力を鍛えるために今後やるべきこと”
以下黄色い枠は引用を示します。
特に印象に残ってポイントとして、著者の言う「問題発見」とは結局どう言うことなのかをまとめると以下になります。
①無知の知を自覚して常識を疑い自ら問題を探しに行く
②Whyでポジティブな文句にして解決すべき変数を見つける
③ギャップ(偏在)を見つけて具体と抽象、メタ認知で自分の頭で考える
これだけでは、どう言うこと?と疑問に感じると思うので、引用しながら補足します。
①無知の知を自覚して常識を疑い自ら問題を探しに行く
まず最初に現在はデジタル革命や予想もしなかった新型コロナ危機により、変化が激しく先の予測が難しい時代として、VUCAとの時代と表現されています。
Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性) の頭文字をとったものです。
こんな時代だからこそ、与えられた問題を卒なく解ける問題解決型よりは、問題発見力が重要な時代になってきていると主張します。
昭和の時代の作れば売れる時代から正解がない時代に様変わりしている現代に必要な能力だろうと共感します。
そこで必要なのが、よく言われる「常識を疑う」ことですが、そのためには、ギリシャの哲学者ソクラテスが唱えた「無知の知」という概念を言います。
つまり、自分は未知の領域が少ないという世界観からは問題発見はできないということです。
“問題発見とは、この様な「未知の未知」の領域を意識した上でそれを「既知の既知」(=新たな問題)に変えていくことなので、そもそもの世界観が「無知の知」であることがスタートポイントになります。”
つまり問題発見には「無知の知」の世界観から自ら問題を探しに行くことが重要ということです。
②Whyでポジティブな文句にして解決すべき変数を見つける
日頃不満に感じていることを、そのまま文句を言うだけでは、ネガティブな文句で終わってしまいます。
ポジティブな文句とは、将来ありたい状況と現状とのギャップのことを、こうできればいいのにといった文句のことです。これについて本書の図と筆者の言葉を引用します。
”通常時とのネガティブなギャップは、改善すべき点が見えているので問題を見つけやすい。 逆に将来ありたい状態との現在とのギャップ、いわばポジティブなギャップは見えにくいので、問題を見つけるために、より思考力が必要となる。”
普段はついつい現状の問題点について、グチを口にしてしまいがちですが、どうすればよくなるだろうと考えるくせをつけることができれば、問題発見に繋がりそうです。
また「変数」とはある製品開発に必要な仕様、例えばどんなサイズでどんな機能を持たせるかのそれぞれの項目で決めるべき数値の様なものです。
著者によると、以下の様に表現しています。
“問題発見とは変数を決定する行為に他なりません。問題とは「変数の組み合わせ」であり、問題発見とはその変数を新たに探し出すこと”
また、「Whyで考えることとは、他のWhat、When、Where、Whoの問いかけが、こと、時間、場所、誰の名詞で答えられるのに対して、Whyは理由を説明する文章で答える必要があるので、問題発見につながりやすい」と著者はいいます。
③ギャップ(偏在)を見つけて具体と抽象、メタ認知で自分の頭で考える
偏在についてはこう定義されています。
”偏在とは文字通り偏って存在、「こちらにはあるがあちらにはない」あるいは「こちらは満員だがあちらはガラガラだ」というような状態を指します。”
偏在を解消することが、新しいビジネスにつながるという話はビジネスチャンスの発見という意味で面白いと思いました。
例えば、AirbnbやUberの配車サービスなどのシェアリングエコノミーがそうです。
それを発見して、どの様に解決したいか自分の頭で考えるのに必要なのが、具体と抽象、メタ認知です。
具体と抽象について、著者の言葉ではこう表現しています。
”具体とは直接目で見たり手で触ったりといった五感で感じることができるものです。 反対に抽象というのは目や耳ではなく「心の五感」、つまり思考することによって感じられるものということになります。”
抽象化してとらえることが問題発見においては重要で、具体的な事象をグルーピング化することでも抽象度を上げて考えることができるというのもわかりやすいです。
メタ認知とは、世阿弥の言う「離見の見(りけんのけん)」と同じことで、舞台で演じている自分を客席にいる自分が見ているように演じるという意味で。自分を客観視することです。
著者の言葉を引用すると、
”メタ認知とは、物事の一つ上の視点から見てみる、あるいは自分の魂を幽体離脱させて上空から自分自信を見てみる 、あるいは外側から眺めてみるという状態を意味しています。”
具体的な自分の経験を上から眺めて抽象化してどんな問題なのかとWhyで考えて見ることが自分の頭で考えることになるということです。
■「問題発見力を鍛える」から行動に移したいポイント
以上から、問題発見能力をつけるために行動に移したいポイントとして以下の3つにまとめました。
①ギャップや偏在に日頃から気づくことを意識する
②ネガティブ文句をポジティブな文句にできないか自分の頭で考える
③自分の頭で考える時に具体と抽象、メタ認知を駆使する
これができるようになれば、他の人の問題にもより気づき易くなって、自分の問題として考えることができそうです。
■著者について
本書からの引用です。
細谷 功(ほそや いさお)
1964年、神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業。東芝でエンジニアとして勤務後、アーンスト&ヤング・コンサルティング(クニエの前身)に入社、ビジネスコンサルティングの世界へ。2009年よりクニエのマネージングディレクター、2012年より同社コンサルティングフェロー。現在は問題解決や思考に関する講演・セミナーを国内外の大学や企業などに対して実施している。『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)、『メタ思考トレーニング』(PHPビジネス新書)などベストセラー多数。「問題発見力を鍛える」より引用
■まとめ
細谷功著「 問題発見力を鍛える」の内容から自分なりに実践したいポイントをまとめました。
参考になれば嬉しいです。