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読書メモ:蜜蜂と遠雷、恩田陸著

こんにちは。生涯挑戦!をモットーに新大人世代を応援する、こうちゃんです。

恩田陸氏著の「蜜蜂と遠雷」の読書メモです。

めったに小説は読まない方なのですが、500ページを超えるボリュームでしたが、読み始めたらすごく面白くて引き込まれてしまいました。

音楽を愛する人に特におすすめの本ですが、物事を極めようとしている人達が競い合う人間模様のストーリーは音楽のジャンルを超えて広く楽しめる内容です。

■蜜蜂と遠雷の全体的な印象

日本で開催された国際ピアノコンクールを競う個性豊かで才能あふれる4人のピアニストに焦点をあてた物語です。

養蜂業を営む父をもつ異色の才能の持ち主16歳の風間塵(かざまじん)、

幼いときから天才少女として注目されながら、母の突然の死で、コンサートをドタキャンして音楽の世界から遠ざかっていた、栄伝亜夜(えいでんあや)、

28歳という最年長で、一時は音楽家の道を諦め、楽器店に務め、妻子をもつが、音楽家の道を諦めきれずに再挑戦をする、高島明石(たかしまあかし)、

ジュリアード音楽院に在学し日系3世の天才肌ピアニスト、マサル・カルロス・レヴィ・アナトールの4人です。

コンクールはピアノ独奏による第1次予選、第2次予選、第3次予選を経て、オーケストラ伴奏のコンチェルトを披露する最後の本選出場権を得る6人に絞られます。

はたして、本選まで残れるのは誰なのか。優勝のゆくえは?

結果はネタバレになるので、差し控えますので、気になる方は本をお読みください。

感じたのは、著者の音楽に対する造詣の深さもさることながら、表現力、描写力が素晴らしいことです。

比喩を多用しつつ、登場人物の心理描写、演奏される曲目の曲想、テンポ感、音色に至るまで、言葉だけでよくここまで表現できるもんだとつくづく感心してしまいます。

まるで、ドキュメンタリーの映像と音を視聴しているような、さらには実際に会場でコンテスタント達の演奏を聴いているような錯覚さえ覚えます。

■印象に残ったところ

比喩表現や、著者の言葉で面白いと感じたところはたくさんありますが、その一部を記載しておきます。

風間塵が予選の本番の舞台の袖からステージに向かうときの様子:

風間はリラックスしていた。まるで、お天気の良い午後、ふらりと近所の公園に犬でもつれて散歩に出かける、というように。

この比喩表現がさりげないながらも、リラックスした感じが手に取るように伝わってきます。

吟遊詩人のようにこの曲を丸ごと身体に入れて、舞台の上で語れるようにならなければならない。

音楽表現は演奏者が思い描くストーリーを語ることというのは、以前世界的実力派のある演奏家が述べていましたが、それと重なりました。

音楽についての著者が語る言葉も共感を覚えます。

音楽 それはたぶん、人間を他の生物とは異なる、霊的な存在に進化させるために人間と一緒に生まれ落ちてきて、一生に進化してきたのだ。

■著者の恩田陸氏について

ウィキペディアからの引用を抜粋します。

恩田 陸(おんだ りく、本名: 熊谷 奈苗(くまがい ななえ)、1964年10月25日 – )は、日本の小説家。女性。青森県青森市生まれ、宮城県仙台市出身。
幼児期を長野県松本市で過ごした。1972年(昭和47年)に富山県富山市に移り、小学2年から5年まで富山市立五番町小学校(現中央小)に通った[5]。1976年(昭和51年)に秋田県秋田市に移り、小学5年の終わりから卒業まで秋田市立旭北小学校に通った[6]。1977年(昭和52年)に仙台市に移り、仙台市立五橋中学校入学時から2年間通った[7]。1979年(昭和54年)の中学3年時から茨城県立水戸第一高等学校卒業まで茨城県水戸市で過ごした[8]。父がクラシック好きで、自宅には多くのレコードがあり[9]、子供の時に、引っ越しが多かったが、本と音楽が周りにある環境で過ごしピアノを習い、広く音楽を知る先生に学び、大人になった今も「ピアノを聞くのが一番好き」と答えている。

やはりクラシック音楽に親しんでいた経験がおありのようです。同じ地元なのも親近感が湧きました。

■まとめ

「蜜蜂と遠雷」の読書メモをまとめました。
とても表現力豊かで、読みやすく、ストーリーに引き込まれてしまいます。
普段小説に親しむ機会の少ない方でも楽しめるおすすめの一冊です。

ご参考になれば幸いです。

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