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Life Span 老いなき世界デビッド・A・シンクレア著の読書メモ

こんにちは。生涯挑戦!をモットーにシニア世代を応援する、こうちゃんです。

人生100年時代と言われますが、最近はコロナ禍もあって先が不透明な時代にも感じます。そんな中だからこそ、健康を維持してできるだけ健康寿命を延ばしたいものですね。

この本は、ハーバード大学で20年以上人間の寿命を決める要因とそれを延ばすための遺伝子の研究をしてきた著者が、寿命を延ばすためのポイントを専門家の立場から述べたものです。

新たに知った事実と、長生きの秘訣についてポイントを忘備録としてまとめました。

健康寿命を延ばしたいと考えてい人は読んでおきたい1冊です。

■Life Spanで著者が主張する長生きの秘訣とは

この本はハーバード大学医学部大学院教授である著者が、25年に渡って老化の原因と若返りの方法に関する研究成果をまとめたものです。

第一部私たちは何を知っているのか(過去)、第二部私たちは何を学びつつあるのか(現在)、第三部 私たちはどこへ行くのか(未来)の3部構成になっています。

この記事では、特に1部と2部から長生きするために知っておきたいポイントをまとめます。

生物学や遺伝子工学の専門用語が多くでてきますが、私はその分野に詳しくないので最低知っておきたい用語の解説も含めて要点だけに絞りました。

結論は大きく2つあって:

・長寿遺伝子を働かせるのに効果的なことをする
・現在わかりつつある老化を治療する薬を服用する

です。以下黄色の枠内は本書からの引用を示します。

■長寿遺伝子とは

生物学の難しい用語が出てきますが、結論の中身の前に、専門家でない私たち読者が特に知っておきたい用語の定義を記載しておきます。

・サーチュイン(sirtuin):体内のほぼ全ての細胞でタンパク質を作っている。生殖とDNA修復を調整する遺伝子。
・NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド):サーチュインがこれを使って仕事をする分子。加齢と共に失われる。
・サーチュイン以外の2つの長寿遺伝子:mTOR(エムトア)とAMPK

サーチュインが長寿遺伝子と呼ばれるのは、レントゲンやその他の放射線で日常的にダメージを受けているDNAを修復する機能があるのでその仕組みが体内にないと人は長くは生きられないのだそうです。

なるほど専門家でなくても、なんとなく理解できます。

■長寿遺伝子を働かせるのに効果的な4つのこととは?

著者が主張する長寿遺伝子、すなわちサーチュイン遺伝子を活性化させるのに効果があることとして第1部から第2部の内容の中で、次の4つをあげています。

①食べる量を減らすファスティング
②アミノ酸を制限する
③運動をする
④環境の温度差を利用する

これらは、酵母菌やマウスを使う実験で著者を含む研究グループが検証した結果に基づいています。

①はファスティングつまり断食の効果です。本書を一部を引用します。

私は約25年にわたってどうかを研究し、何千本という科学論文を読んできた。そんな私にできるアドバイスが一つあるとすれば食事の量や回数を減らすことである。

栄養失調や飢餓状態にならない程度に食事を制限することで、多大な健康効果があることが裏付けられているそうです。

断食は効果がある話は聞いたことがありますが、実際やってみる気になるかは人それぞれですね。個人的にはあまり気が進みません。腹八分目を心がけるぐらいです。

②のアミノ酸を制限するとは、牛肉、豚肉、鶏肉などの動物性タンパク質を摂りすぎないで、植物性タンパク質を多くとることです。

これについては、別の本「日本の長寿村」でも同じようなことが書いてあるので、事実なのだと思います。これは心がけ次第で実行可能なので、意識したいところです。

③の運動するについても、多くの本で述べられていますので、実際私も毎日のウォーキングと週3回の筋トレを習慣にしています。

この本で興味があったところは、

運動によって活性化される長寿遺伝子の大部分は、テロメアの伸長、細胞に酸素を運ぶ新しい微小血管の成長、化学エネルギーを作るために酸素を燃やすミトコンドリアの活性化など、運動による健康上の利益に関与している。

というように、実際に運動によって長寿遺伝子を活性化させることもわかっています。

ここでテロメアとは、「特徴的な反復配列を持った DNA とタンパク質からなる複合体のこと」で テロメアが一定の短さまで摩耗すると細胞は DNA が切断されたとみなして分裂をやめて老化するのだそうです。

④の環境の温度差を利用するとは、寒さに身をさらすことで長寿遺伝子が活性化したり、北欧のサウナを愛好する人に心臓病での死亡率が少ないことだったりが述べられています。

■現在確認されている老化を治療する薬とは?

第2部で現在までの研究から老化を防止する効果が確認されている薬として次の3つがあります。

①糖尿病の治療薬として使われているメトホルミン
②ワインに含まれるレスベラトロール
③NMN

①については、メトホルミンという本来糖尿病患者向けの薬が、アンチエージングの薬としての効果がわかってきています。

私自身糖尿病予備軍からギリギリ糖尿病である6ヘモグロビンa1cの値が6.5までの数字をいったりきたりしている状況ですが、これまで薬に頼ったことはありませんでした。

ただ、メトホルミンという薬が糖尿病以外に老化防止に効くというのは初めて知ったので、ここの部分を興味深く読みました。医者に相談してみようかと思っています。

②レスベラトールについて

レスベラトールとは、いくつかのウェブサイトによると、ぶどうやピーナッツ渋皮に含まれるポリフェノールの一種で、長寿遺伝子をオンにする物質のようです。

本書では、

様々な植物がストレス時に生みだす天然の分子であり、赤ワインにも含まれている。

と解説されていて、長寿遺伝子を活性化させる物資の1つとなっています。

③のNMNというのは、レスベラトールよりも効果が高いサーチュイン活性化化合物の1種であるNADを増加させる物質で(ニコチンアミドモノヌクレオチド)のことです。

マウスを使った実験で、高齢マウスの生殖機能が蘇ることが確認されています。

さらに筆者の生徒の母親が閉経後に服用したら、月経が再開したこと、70過ぎの筆者の父が服用したら肝機能の数値が正常になった事例が紹介されていました。

■筆者自身が実際に取り組んでいること

最後に筆者が実践していることがリストされていました。

・NMN1g、レスベラトール1g、メトホルミン1gを毎朝服用
・ビタミンD及びK2の1日推奨摂取量をとり、83gのアスピリンを服用
・砂糖、パン、パスタの摂取量をできるだけ少なくする。
・1日のどれか1食を抜くか、ごく少量に抑える
・数ヶ月に1度血液検査
・毎日できるだけ歩く。週末はジム、サウナと水風呂
・タバコは吸わず、電子レンジにかけたプラスチック、過度な紫外線、レントゲン、CTスキャンを避ける
・日中と就寝時は涼しい場所にいる
・BMIを23〜25に保つ

全部は難しいですが、できることは参考にしたいものです。

■著者について

本書からの引用です:

デビッド・A・シンクレアDavid A. Sinclair PhD
世界的に有名な科学者、起業家。老化の原因と若返りの方法に関する研究で知られる。ハーバード大学医学大学院で遺伝学の教授を務め、同大学院のブラヴァトニク研究所に所属。ハーバード大学ポール・F・グレン老化生物学研究センターの共同所長。その研究は多くのメディアの注目を集めており、2014年には『タイム』誌による「世界で最も影響力のある100人」の1人
に選出された。

マシュー・D・ラプラントMatthew D. LaPlanteユタ州立大学で報道記事ライティングを専門とする準教授。ジャーナリスト、ラジオ番組司
会者、作家、共著者としても活躍。

■まとめ

Life Spanから、健康寿命を延ばすために必要なことについてまとめました。

一番印象に残ったことの1つに「老化は自然現象ではなく病気である」とい言葉があります。これまでの常識をくつがえす話です。

この分野でエキパートである筆者が言うのでまんざら嘘ではないと思われます。

そうは言っても、書かれていることを盲信するのではなく、他の情報ソースにも目を向けながらこの本で得られた知見を無理のない範囲で実践してみたいと思いました。

参考になれば嬉しいです。

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