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「科学者たちが語る食欲」デイヴィッド・ローベンハイマー&スティーヴン・J・シンプソン著の読書メモ

こんにちは。生涯挑戦!をモットーにシニア世代を応援する、こうちゃんです。

健康的な食生活を送って人生100年時代を健康年齢をできるだけ保って楽しんで生きたいというのは誰しも望むところかと思います。

そのための食生活や栄養バランスについては情報が溢れていてどれを信じたらいいのか戸惑うことはありませんか?

私もいろいろ健康や食に関する本を読んでいますが、どれが本当なのか迷うことがあります。

そんな方に読んで欲しいのが、まさにこの本です。
理由は、筆者は医者ではなく昆虫学者であるということです。医学会や薬品会社とのしがらみが全くなく、純粋に膨大な実験によりデータを積み重ねた上での結論だからです。

一番印象に残ったのは、タンパク質は昆虫でも人を含む哺乳類でもあらゆる生物の食欲に影響して、タンパク質と炭水化物の摂取量のバランスで寿命に影響するというところです。

もう1つは、加工食品を避ける話です。この本に限らずよく聞く話ですが、食品メーカーが利益を追求し消費行動を高めるための化学薬品が意図的に使われている話は衝撃的です。

■「科学者たちが語る食欲」の概要と印象に残ったポイント

この本は食欲の中「タンパク質への欲求」が最も強く、あらゆる生き物がそれを満たすために炭水化物とタンパク質のバランスをコントロールする仕組みがあることを見出したという内容です。

それを発見したのが、医者でも食の専門家でもなくて、昆虫や生態学の専門家であるというところがユニークなところです。

医学会や薬品会社とのしがらみが全くなく、純粋に膨大な実験によりデータを積み重ねた上での結論だから返って信憑性があると感じます。

特に印象に残ったポイントは以下の5つです。

①タンパク質欲が生物にとって根源的な欲求
②あらゆる生物は生まれながらにして栄養バランスを保つ能力を持っている
③タンパク質が炭水化物より過剰摂取となって、バランスがくずれるとテロメアが短くなって短命になる。ただし生殖能力は増加する。
④長寿の地域では、食物繊維が多い炭水化物を多く、タンパク質比率と脂肪の摂取カロリー低い傾向がある
⑤加工食品には製造効率と消費行動を高めるための化学添加物が使用され。子供の時からCM
などで無意識に食べる様促されている。

①と②については、筆者らは実験室だけでなく、自然界に生息するバッタや猿の数年間に渡る根気のいる観察から実験的に確認さえました。

こちらが引用したバッタのタンパク質と炭水化物比率のグラフで、ターゲットとなるタンパク質量を中心に、炭水化物が多いと肥満のバッタに、タンパク質が多いと痩せたバッタになることが確認されました。

③についてはこちらのグラフがわかりやすく、色の濃いところが寿命が長いことを意味しています。

テロメアとは染色体の末端にあるキャップ状の構造で、長い方が寿命が長くくなるそうです。

上の図では、タンパク質より炭水化物の摂取量が多い方が色が濃く(寿命が長く)なっています。生殖能力の方ではその逆です。

タンパク質が炭水化物より過剰摂取となって、バランスがくずれるとテロメアが短くなって短命になるというところが一番衝撃的な内容でした。

昨年読んだ長寿遺伝子研究の「Life Span」でのファスティングやアミノ酸を減らす、

「日本の長寿村・短命村―緑黄野菜・海藻・大豆の食習慣が決める」の内容とつながりました。④はその内容そのものです。

昨年読んだ本に糖尿病の専門の医師の方が書いた本「主食をやめれば糖尿病は良くなる」というのがあり、こちらの読書メモにまとめました。

血糖値が高めなので、2021年の1月から週3回夕食は主食抜きをすることを始めて継続していました。ところが、今回の本によると炭水化物のバランスが目標とするタンパク質よりも少ない摂取量となると、寿命が短くなるということが実験的に確認できていると判明しました。

どちらを信じたらいいのか迷いましたが、前者は血糖値についてはデータがあるものの、寿命についてのデータは紹介されていなかったので、後者の本を信じることにしました。

炭水化物抜きや、脂質を多くとることを推奨する主張する本によく紹介される話として次の2つがあります。

・エスキモーの人たちは炭水化物ではなくて、あざらしの肉など脂質とタンパク質中心の食生活で、心臓病や糖尿病の人はほとんどいない。
・狩猟中心の原始人は炭水化物はほとんどとっていなかった。その方が人類史上の歴史は長い。

こいう話を聞くと、なるほどと納得して、炭水化物ダイエットやファットバーニングをした方が健康になれそうと思ってしまいます。

猫と犬の話からすると、コメを主食としてきた環境要因の影響を少なからず受けている私たちが、エスキモーや原始人の真似をするのは無理がある様な気がしてきました。

⑤の加工食品の危険性については、普段あまり意識せずついついスナック菓子を食べてしまいますが、医薬品が長年に渡って副作用の実験検証がされてから薬になるのに対して、食品添加物については、さほど悪影響が確認されずに加えられているということを知るとなるべく避けたくなります。

自家製の食べ物が一番安心です。

■「科学者たちが語る食欲」から行動に移したいポイント

最後の方に、筆者からの15の注意事項というリストがあります。これをできるだけ実行していきたいと思いました。

・その1 自分のタンパク質ターゲットを理解する 
・その2 超加工食品を避ける
・その3 高タンパク質食品を食べる
・その4 食物繊維を食べる
・その5 カロリー信奉をやめる
・その6 食べ物を混ぜ物にしない(添加物を避ける)
・その7 空腹の時に食べる
・その8 塩味が欲しいことの意味を知る
・その9 食欲を信じる
・その10 運動時には20グラムから30gのタンパク質をとる
・その11 食べない時間を1日の中に作る(夜間を断食し、間食を控えること)
・その12 体内時計に合わせて眠る
・その13 外に出る
・その14 料理を作ってみる
・その15 流行に惑わされない

自分のタンパク質ターゲットを理解するについては、以下の3つのステップから計算できます。

■ステップ1:性別、年齢、体重などから1日の必要カロリー量を推定
■ステップ2:必要タンパク質の必要カロリー数を次の係数をかけて計算する
 必要タンパク質量の割合
・子ども、青少年:0.15(タンパク質比率15%の食事を意味する)
・若年成人(18歳〜30歳):0.18
・妊婦、授乳婦:0・20
・成熟した成人(30代):0.17
・中年(40歳〜65歳):0.15
・老年(65歳超):0.2
■ステップ3:1日に摂取すべきタンパク質のg数を4で割って算出する
 (タンパク質1gが4kcalに相当するから)

詳細の計算方法は別記事でまとめる予定です。

■著者について

本書からの引用です。

デイヴィッド・ローベンハイマー(DAVIDRAUBENHEIMER,PhD)シドニー大学生命環境科学部栄養生態学教授およびチャールズ・パーキンス・センター栄養研究リーダー。オックスフォード大学で研究員および専任講師を10年間務めていた。世界中の大学や会議で講演を行っている。スティーヴン・J・シンプソンとの共著に『TheNatureofNutrition:AUnifyingFrameworkfromAnimalAdaptationtoHumanObesity』(未邦訳)がある。シドニー在住。

スティーヴン・J・シンプソン(STEPHENJ.SIMPSON,PhD)シドニー大学生命環境科学部教授およびチャールズ・パーキンス・センター学術リーダー。主な受賞歴に王立昆虫学会ウィグルスワースメダル、オーストラリア博物館ユーリカ賞、ロンドン王立協会賞、オーストラリア勲章第二位など。イギリスやオーストラリアのメディアやテレビにたびたび取り上げられている。

■まとめ

「科学者たちが語る食欲」デイヴィッド・ローベンハイマー&スティーヴン・J・シンプソン著の読書メモを紹介しました。

タンパク質が食欲の中心であり、炭水化物とのバランスで寿命が決まるという話は衝撃的でした。

参考になれば嬉しいです。

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