こんにちは。kindle本「理系出身じいじのホットクックでらくらく離乳食/幼児食/絶品パスタ/目の健康に良いレシピ」「理系出身じいじのホームベーカリーらくらく使いこなし術」の著者、生涯挑戦!をモットーにシニア世代と子育て世代を応援する、こうちゃんです。

人生初の現代アート作品《帝網(たいもう)》を作った話、今回が完結編です。

数か月かけて準備してきた作品を、いよいよ東京大学の本郷キャンパスで展示発表する日がやってきました。

ところが会場で設置してみると、まさかの大トラブルが起きました。

◾️会場で、まったく動かない

前日の夜、自宅では何度も動作確認をしていました。

覗き込むとセンサーが反応し、LEDが光り、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲が流れ、内部に万華鏡のような無限の宇宙が広がる。

「よし、ちゃんと動く」と確認して、大事に梱包して東大まで運びました。

ところが、展示台に設置して電源を入れてみると、まったく動かないのです。

光らない。音も鳴らない。

ただの暗い円柱になってしまいました。

あの瞬間は、本当に焦りました。

老眼と格闘しながらはんだ付けした日々や、妻が夜遅くまでガラスビーズを取り付けてくれたことが頭をよぎって、「このままでは、ここまでの苦労が水の泡になる」と。

◾️頼ったのは、一緒に作ってきたAIでした

そこで頼ったのが、今回ずっと一緒に作品を作ってきたAIでした。

わたしは電子工作の初心者ですので、回路設計やプログラムの段階から、AIに相談しながら制作してきました。

会場でもスマートフォンを開き、回路の部分を写真に撮って送りました。そして「自宅では動いたのに、会場では動かない。何が考えられますか」と相談したのです。

するとAIから、こんな答えが返ってきました。

「輸送時の振動で配線が緩んだ可能性が高いです。まずセンサー周辺の配線を確認してみてください」

スマートフォンのライトで照らしながら確認してみると、センサーにつながる4本の細い配線のうち、1本がポロッと外れていました。

「これだ」と思って、慎重につなぎ直し、もう一度電源を入れました。

すると、LEDが光り、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲が流れ始めました。

そして目の前に、万華鏡の無限の宇宙が広がりました。

あの瞬間は、本当にほっとしました。

 

◾️講評会での反応

午後からは、参加メンバーそれぞれの作品紹介と講評会です。他のグループの方々も合流して、にぎやかな時間になりました。

《帝網》も多くの方に体験していただきました。覗き込んだまま、しばらく見入ってくださる方もいました。

外から見るとシンプルな円柱なのに、中にはまったく違う宇宙が広がっている。そのギャップや、「インドラの網」というコンセプトについても、うれしい評価をいただきました。

◾️実は、あの失敗のすべてにAIがいた

前回の記事で、DFPlayerのピンを間違えた話、Arduinoに書き込めなかった話、センサーが誤反応した話、そしてLEDと音楽のTrueとFalseが入れ替わっていた話をしました。

実は、あの一つひとつの場面に、AIがいました。 DFPlayerのピン配置が分からなかったときは、写真を撮って送り、「このピンとこのピンが、それぞれ何を表しているか教えてください」と確認しました。

Arduinoに書き込めなかったときも、「USBハブ経由だとエラーが出る、直接つなぐとどうなるか」と、試す順番までAIと相談しながら切り分けていきました。

センサーの誤反応も同じです。「顔ではうまく反応しないのに、胸なら反応する」と伝えると、「顔は凹凸があって距離が安定しないのでは」「反応距離を50cmまで広げたらどうか」「ノイズを拾っているなら、10回連続で検知した場合だけ反応させたらどうか」と、条件を一つずつ提案してもらい、試しては直し、また試す、を繰り返しました。

正直に言うと、この制作全体を通して、AIとのやりとりは数百回に達しています。

万華鏡の組み方と、布を縫う作業以外は、ほぼすべての場面でAIに相談していたと言っても大げさではありません。

わたしは電子回路は数十年前に少しかじったことはありますが、プログラムは専門ではありません。

それでも作品を完成させられたのは、分からないことが出るたびに、大きな悩みのまま抱え込まず、AIへ小さく質問を投げ続けたからでした。

◾️AIは、答えを出す道具ではありませんでした

今回いちばん面白かったのは、AIが単に答えを出してくれる道具ではなかった、ということです。

そもそもの始まりは、「人が近づくとセンサーが反応して、LEDが光り、音楽が流れる作品を作りたいのですが、どんな部品を使えばいいですか」という、ざっくりした相談でした。

できるだけ複雑な仕組みにはしたくない、とも伝えました。

するとAIは、距離を測るセンサーにはこれ、音楽を鳴らすにはこれ、全体を制御するにはこれ、と具体的に提案してくれました。

助かったのは、商品名を挙げるだけでなく、なぜその部品が今回の作品に向いているのかまで説明してくれたことです。

知識がない状態でインターネットを検索すると、似たような部品が大量に出てきて、結局どれを選べばいいのか分からなくなります。その最初の選択肢を絞り込んでくれたおかげで、部品を買って制作を始めるところまで進めました。

◾️「最初から全部を動かそうとしないでください」

もうひとつ、印象に残っている助言があります。

プログラムを書いてもらったとき、AIはこう言いました。

「最初から全部を動かそうとしないほうがいいですよ」

まずセンサーだけ動かす。次にLEDだけ動かす。その次に音楽だけを鳴らしてみる。それぞれが動くことを確認してから、最後に全部を組み合わせる。

この順番で進めると、途中で動かなくなっても、どこに問題があるのかを切り分けやすくなります。

これは、プログラムそのもの以上に勉強になりました。

実際、展示当日に作品が動かなかったときも、以前のわたしなら「何が悪いのか分からない」と途方に暮れていたと思います。でも今回は、「この症状ならここを確認する」という切り分けが、少しずつ身についていました。

最初は冷や汗ものでしたが、落ち着きを取り戻して、わりとすぐに原因を見つけることができたのです。

◾️「作れない」が減っていく

そしてもうひとつ、アートに取り組む立場から考えると、これはけっこう面白い変化だと思っています。

これまでは「電子工作ができないから、この表現は無理だな」と諦めていたアイデアでも、AIと一緒なら試せるかもしれない。

つまり、AIによって知識が増えただけではなく、自分が作品として表現できる範囲そのものが広がったのです。

今回、そこにいちばん可能性を感じました。

◾️まとめ

この記事では、東京大学本郷キャンパスでの展示当日に起きたトラブルと、それをAIと一緒に乗り越えた話をご紹介しました。

振り返ってみると、この作品はわたし一人では絶対に完成しませんでした。

万華鏡について相談に乗ってくれた後輩。外装を縫い、ガラスビーズを取り付けてくれた妻。電子工作とトラブル解決を支えてくれたAI。そしてコンセプトを一緒に磨いてくれたスタディグループの仲間。

《帝網》のテーマは、「ひとつひとつの存在は孤立しているように見えて、実は互いにつながり、映し合っている」というものです。

作品を作るプロセスそのものが、そのままコンセプトになっていたのですね。

人生初の現代アートへの挑戦。途中では「本当に完成するのかな」と思うことが何度もありましたが、最後には東大本郷で無事に宇宙を輝かせることができました。

専門外だから無理、と諦めていることがある方は、一度AIに「こういうものを作りたいのですが、どうすればいいですか」と聞いてみてください。

意外と、最初の一歩は簡単に見つかるかもしれません。

ABOUT ME
こうちゃん
●このブログについて 2017年4月にこのブログを開設しました。 人生100年時代といわれています。 アクティブシニアという言葉は65歳~75歳を指して言うらしいですが、 それより若い世代は、「新大人世代」というそうです。 http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/26938 アクティブな新大人世代を迎えている人達を応援しつつ、 自分自信も生涯挑戦をモットーとし、成長マインドセットをもって 価値のある情報を提供していくことを目的としています。 ●ミッション: ・健康維持、家族の幸せ、少しでも他の人に役に立つことをする ・本、旅、芸術、仲間に会うこと等からの学びをインプットして、  日々0.2%の成長を目指します。 ・体験し、学び、感じたことをアウトプットし、新大人世代を中心に価値のある  情報発信を目指します。 ●趣味 ゴルフ/ウォーキング/筋トレ/瞑想/読書/料理/美術鑑賞/旅/室内楽演奏 ●仕事 2016年4月に還暦を迎え、2nd Lifeがスタートしました。 某研究機関で翻訳の仕事をしています。 1stライフでは、企業でエンジニア、マネージャーを経験しました。