こんにちは。生涯挑戦!をモットーに新大人世代を応援する、こうちゃんです。
数日前にたまたま通勤の車の中で聴いたNHKFM放送の内容がとても心に残ったので、紹介します。
女性の世界的指揮者のお一人である西本智実さんがが率いる、イルミナートフィルハーモニーオーケストラと合唱団が、
2013年11月9日(土)に原曲「グレゴリオ聖歌」「オラショ」として455年の時を経て、バチカンの聖ピエトロ寺院にて、復元演奏された時のお話をされています。
■オラショと隠れキリシタンについて
そもそもオラショとは、ラテン語のオラシオ(oratio、祈祷文)に由来する言葉で、日本のキリシタン用語で「祈り」の意味だそうです。
長崎の平戸の生月島に3曲だけ残ってるもので、元はグレゴリオ聖歌というアカペラの宗教音楽とのこと。
指揮者の西本智実さんは、ご先祖が長崎の隠れキリシタンだったとおっしゃってました。
日本で1612年(慶長17年)及び翌1613年に、江戸幕府がキリスト教禁止令(禁教令)を出しました。
江戸時代初期だけではなく、明治初期にも隠れキリシタンへの悲惨な迫害の歴史があったことを初めて知りました。
■FM放送の内容
放送は2018年11月12日の朝で、以下のプログラムです。
07:25 – 09:15
平成30年度文化庁芸術祭参加作品 長崎 祈りの音色
ゲスト:水谷川優子,西本智実,マコト・フジムラ,森田美由紀
復元演奏をされた時のことをMCに聞かれて、西本さんの言葉が印象に残りました。
記憶で書いているので、正確ではないですが、
自分はこのオラショをバチカンで演奏する為に生かされているのだと感じた。
元々この演奏会に招聘された時は、別の曲の演奏をする為で、オラショは主目的ではなかった。
それが、たまたまこの曲の存在を知って、演奏を提案したところ、一か月後に許可が下りた時は、感動した。
司祭の方たちは演奏の後、450年の年月を経た東洋の奇跡だと口々に言っていたとのこと。
オラショは今では殆ど演奏されない、古いタイプのスペインのグレゴリオ聖歌だと判明した。
西村さんの言葉より引用
つまり、西本さんは隠れキリシタンの末裔であり、迫害を受けていた隠れキリシタンが江戸時代から伝承してきた、オラショという祈りの音楽の存在を知っていたわけです。
それが、バチカンのサン・ピエトロ寺院での催しにたまたま招聘され、オラショも是非紹介したいという思いから、演奏の許可を得て、実際にそれが実現したというストーリーです。
確かに、迫害にあった犠牲にあった人々の願いが450年後に隠れキリシタンの末裔である識者の西村さんを通して実現したという話に、単なる偶然だけとしかいえない不思議さを感じます。
そのストーリーに、背筋がぞくっとするような感動を覚えました。
偶然が重なったのに、それが必然であるかのような運命的な繋がりに感じたからです。
■オラショとグレゴリオ聖歌について
オラショについてググって調べてみると、音楽評論家の皆川達夫さんが、こちらに詳しく書いておられれました。
そこから引用させていただくと、
『オラショとは、隠れキリシタンによって口伝えによって伝承されてきた祈りの歌。
ラテン語の「oratio(オラツィオ)」に由来し、もともとは宣教師によって教えられた、ラテン語の祈祷文にメロディーを付けて歌われたもの。
しかし、歴史を経る中で次第に意味内容が理解されないまま唱えられるようになった。そのため、日本語のような言葉と、ラテン語のようだが意味のよく分からない言葉が混在している。
例えば、ポルトガル系のラテン語と日本語が混ざった次のようなオラショがある。
バチカン図書館ではお目当ての楽譜を見つけることができなかった。
そこで、当時、日本に来ていた宣教師の出身地であるスペイン、ポルトガルをもう一度、調べることにした。
すると、スペインの図書館にたった1曲、同じ文言の入った曲があったのだ。』
:「皆川達夫さんが語る隠れキリシタンの祈り『オラショ』 400年の時を超えて伝わる異国のグレゴリオ聖歌」より引用
「音楽は、ともすれば1週間で聴かれなくなってしまう儚(はかな)い芸術。
しかし、この音楽は400年もの間、人が生きることを支えてきた。音楽の力強さを感じた」
という皆川さんの言葉にも感動です。
バチカンの聖ピエトロ大聖堂は一年前の2017年に初めて訪れて印象に残ってますので、このニュースを知って記事にするのも何かの縁を感じます。