シニア世代になると、「健診で糖尿病予備軍と診断されたのでなんとか生活習慣を改善したい」「糖尿病と診断されてしまったので食事療法で何とかしたい」
という方もいるのではないでしょうか。
そんな人におすすめの江部康二著「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」という本を忘備録としてまとめたので紹介します。
かく言う私もそうで、5年ぐらい前に健診でヘモグロビンa1C(Hba1c)が6.5という数値になって予備軍ではなく、糖尿病と診断されました。その後改善しましたが、最近また6.5に逆戻りしてしまいました。
この方法が実践できれば、糖尿病が改善できそうです。この本の内容を一言でまとめるとタイトル通り:「主食を抜くだけで糖尿病が良くなる」となります。
主食を抜くなんてありえないと思うかもしれませんが、実際効果があった数値を見せられると試したい気になります。さらになぜそうなのか、どんなおかずを食べたらいいのかのポイントをまとめました。
■「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」の概要と印象に残ったポイント
主食を抜くと言っても、なかなかハードル高そうですが、どんな効果があるのか、なぜ効果があるのかが気になるところです。
その根拠として3つをあげています。
①筆者の病院で糖質制限食を与えて数値が改善したデータがあること。
②イヌイットと縄文人の食生活
③主食という概念が始まったのは意外と新しい
それぞれ引用しながら補足します。
①病院で糖質制限食を与えて数値が改善したデータがあること。
筆者は一般財団法人高雄病院理事長でお医者さんです。こちらの図が患者さん42例にスタンダード糖質制限食を実施した結果のグラフの引用です。
3食の内1食だけ主食を摂るスタンダード糖質制限食でもかなりの効果があることがわかります。
②イヌイットと縄文人の食生活
イヌイットとは、アラスカやグリーンランドに住む人々です。彼らは環境のせいで、特殊な食生活をしている様子が以下の様に説明されています。
“糖質制限食などよりもはるかに徹底して、低糖質、高たんぱく、高脂質であり、そのような生活を何千年も続けているのです。
デンマークのダイヤベルク博士が調査研究を行った結果では、 食生活の総摂取カロリーのうち脂肪の占める割合が40から50%という点ではデンマーク人とほぼ同じだったのにもかかわらず、虚血性心疾患による死亡率がデンマーク人35%に対してイヌイットでは5%しかなかった”
:「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」より引用
他にも、ガンや心疾患、糖尿病など極めて少なかったということで、主食は摂らずに、肉や魚中心の脂質の多い食事が、糖質制限食の効果の裏付けの1つになりそうです。
縄文人についても以下の記述があります。
”人類が誕生して約700万年のうち、農耕により穀物栽培開始は1万年ほど前で、定着したのはほんの4,5000年に過ぎません。穀物を常食していたのはわずか1000分の1程度の期間だけであり、歴史のほとんどにおいて穀物抜きの食生活で生き抜いてきているのです。”
:「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」より引用
主食をとるのが当たり前という考えは人類の歴史から見ると意外と新しいことがわかります。
と考えると、主食を抜くなんてとんでもないとは一概には言えない気がしてきます。以前読んだ「ファットバーニングの食事術」にも同様の話がありました。
③主食という概念が始まったのは意外と新しい
では主食という概念がいつから始まったかというと、これまでの話から推察できる通り穀物栽培が始まってからですが、人類発展の重要な基盤であることを著者は認めつつ、
“主食として穀物を食べないと生きていけないという感覚は歴史的な先入観から来る錯覚にすぎないのです。”
:「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」より引用
と言い切っています。平安時代までは庶民も貴族も一日二食だったそうで、三度のご飯というのも意外と新しいことがわかります。
では糖質制限食としてどの様なものを食べたら良いのかが気になります。
■糖質制限するために食べていいものと食べてはいけないもの
糖質制限食として避けるべき食品、中間的な食品、食べても良い食品の主な例を引用します。:
“<避けるべき食品>
・米、麦
・野菜の中で、いも類、かぼちゃ、れんこん、くわい
・砂糖などの甘味
<中間的食品>:少量ならOK
・山芋
・ワイン
・ねりもの(かまぼこなど)
・果物
<間食として食べても良い食品>
・ナッツ類
・チーズ “
:「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」より引用
いも類は連想できましたが、かぼちゃやれんこんも避けるべき食品というのは知りませんでした。
おかずとして食べても良いのは、魚、肉類など避けるべきでんぷんの多い食品以外なら良いそうです。もう1つ意外だったのは牛乳です。乳糖が含まれているので避けた方が良いそうです。
具体的にどんな食事をとったらいいのかについては、一例を以下に示します。おかずは普通にまたは多めにとっても大丈夫の様です。
他に1週間分のメニューが載ってますが、ネタバレになるので本書をご覧ください。
■「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」から行動に移したいポイント
この本を読んで、データの裏付けもあるし、まずは以下を実践して効果があるのか確かめてみたいという気になりました。
・徐々に主食の量を減らしてその分、大豆、海藻、野菜、肉類、魚類をふやす
・間食はナッツかチーズにする
・食べてはいけないリストのものは口にしないようにする
まずは、プチ糖質制限食から始めて、スタンダード糖質制限食を試してみたいと思います。
尚、本書に注意書きとして、薬を服用している人、肝硬変の人他対象外の人が書かれていますので、試したい場合はまず注意書きを読んで、医師と相談の上検討してください。
■著者について
本書からの引用です:
江部康二(えべ・こうじ)
一般財団法人高雄病院理事長。一般社団法人日本糖質制限医療推進協会代表理事。医師。
1950年生まれ。京都大学医学部卒業。1987年から医局長として高雄病院勤務。高雄病院では、1999年から兄・江部洋一郎院長(当時)が糖質制限食を導入。自らも2001年から導入。2002年に自身が糖尿病であることに気づいて以来、糖尿病治療の研究に本格的に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立。これにより自身の糖尿病を克服する。その後、高雄病院で800人以上の入院患者、2000人を超える外来患者を通じて、糖尿病・肥満・メタボリック症候群などに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明。糖質制限食を全国に紹介し、大反響を巻き起こした。
■まとめ
江部康二氏著「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」の内容を読書メモとしてまとめました。
効果があることが実証されているので、試してみたいと思います。
参考になれば嬉しいです。
その後こちらの本を読んで、主食を抜くことは糖尿病には効果があるかもしれませんが、長期的にみると寿命を縮める可能性があることがわかりました。
なので、どうするかは自己責任で判断されて下さい。