読書メモ

「それでも人生にイエスと言う」ヴィクトール・E・フランクル著の読書メモ

こんにちは。生涯挑戦!をモットーにシニア世代を応援する、こうちゃんです。

人生、幸せ、死についていろいろと考えさせられる本でしたので、読書メモとして紹介します。

人生100年時代と言われますが、コロナの蔓延、温暖化の影響、異常気象による災害、地震など先行き不透明な部分もあって、どこかに不安を感じてしまう状況です。

今現在幸せと感じている人でも、苦悩を抱えている人でも、いつかは平等におとずれる「死」は避けて通れません。今は平穏でもいずれ絶望のどん底に突き落とされる時が来るかもしれません。

そんな漠然とした不安を抱えている人におすすめの本です。どんな状況に陥ったとしても、人生はそれ自体意味があるとうのがこの本の一貫した主張だからです。

少し詳しくポイントを紹介します。

■「それでも人生にイエスと言う」の概要と心に響いたポイント

この本は著者のヴィクトールフランクルが、ナチスの強制収容所から解放された翌年にウィーンの市民大学で行った3つの連続講演の内容を本にしたものです。

全体は次の3つの章(講演内容)から構成されています。

“I 生きる意味と価値
Ⅱ 病を超えて
III 人生にイエスと言う”

以降黄色い四角の枠内は引用を示します。

心に響いた内容は、それぞれの章に一貫する著者の主張で、以下に集約されています:

「人生はそれ自体意味があり、どんな状況でも人生にイエスと言うことができるのです。
困窮と死にも関わらず、身体的心理的な病気の苦悩にも関わらず、強制収容所の運命のもとにあったとしても、人生にイエスと言うことができるのです。」

こういう考えに至った背景には、強制収容所という想像を絶するような体験を経て生還し、もともとフロイトに師事した精神科医であり、外科医でもあって哲学にも造詣が深かった著者のバックグラウンドがあると思われます。

それに加えて中身の文章から感じられる、人間愛と共感性豊かな人格も関係しているのだろうと感じました。

もう1つは、死というものがあるからこそ、充実した幸せな人生を送ろうと考えるというところが印象に残りました。

”もしも私たちが不死の存在だったら、私たちは、あることを今するか、明日するか、一年かけてするか十年かけてするかというようなことは、全然問題にならないであろう。私たちの人生が限りあるものであるからこそ、私たちは人生のそのつどの機会を生かし、人生を充実させようと努めるのである。”

死は忌み嫌うもの、できれば避けたいものと死そのものから目を背けたり、考えないようにしてしまいがちですが、逆にそれがあるからこそ人生を充実させ、幸せを求めるという考えかたは新鮮でした。

幸せというと、幸福についてもこのように述べています。

よろこびそのものを「欲する」ことはできません。よろこびはおのずと湧くものなのです。帰結が出てくるように、おのずと湧くのです。しあわせは、けっして目標ではないし、目標であってもならないし、さらに目標であることもできません。それは結果にすぎないのです。

しあわせ、幸福は結果であって目標ではないというのも面白い視点だと思いました。

他に「どんな状況でも人生にイエスと言う」という考えを説明する数々のエピソードのなかから、心に残った話をいくつかあげておきます。

・あと数時間しか生きられないとわかっているのに医者を気遣う患者の話。

・コンサートホールで大好きなシンフォニーの数小節が響き渡る瞬間に生きがいを感じている人の話。

・不治の病の我が子をだきしめる瞬間に幸せを感じる母親の話。

など、それぞれ瞬間瞬間を一生懸命に肯定的に生きている姿を感じました。

■行動に移したいポイント

この本を読んで、心に残って行動に移したいポイントは以下の2つです。

・死を必要以上に恐ることなく、どんな運命に遭遇しても、生きる意味を見失わずに人生のその都度の機会を生かし、充実させようと努めていく。
・何か見失いそうになったら、この本をもう一度読み返してみる。

この本に出会えて良かったと思いました。

■著者について

Wikipediaからの引用です。

ヴィクトール・エミール・フランクル:
1905年にウィーンに生まれる。ウィーン大学在学中よりアドラー、フロイトに師事し、精神医学を学ぶ。

ウィーン大学医学部精神科教授、ウィーン市立病院神経科部長を兼任する。「第三ウィーン学派」として、また独自の「実存分析」を唱え、ドイツ語圏では元々知られていた。フランクルの理論にはマックス・シェーラーの影響が濃く、マルティン・ハイデッガーの体系を汲む。精神科医として有名であるが、脳外科医としての腕前も一級であった。

1933年から、ウィーンの精神病院で女性の自殺患者部門の責任者を務めていたが、ナチスによる1938年のドイツのオーストリア併合で、ユダヤ人がドイツ人を治療することが禁じられ、任を解かれた。1941年12月に結婚したが、その9ヶ月後に家族と共に強制収容所のテレージエンシュタットに収容され、父はここで死亡し、母と妻は別の収容所に移されて死亡した。フランクルは1944年10月にアウシュビッツに送られたが、3日後にテュルクハイムに移送され、1945年4月にアメリカ軍により解放された。その後1946年にウィーンの神経科病院に呼ばれ、1971年まで勤務した。1947年にエレオノール・キャサリン・シュヴィンと再婚している。50年以上に渡り、仲睦まじい夫婦であっただけでなく、彼女はフランクルの学問的な協力者でもあった。その辺の事情は、『それでも人生にイエスと言う』に詳しい。

ナチス強制収容所での体験を元に著した『夜と霧』は、日本語を含め17カ国語に翻訳され、60年以上にわたって読み継がれている。発行部数は、(20世紀内の)英語版だけでも累計900万部に及び、1991年のアメリカ国会図書館の調査で「私の人生に最も影響を与えた本」のベストテンに入ったという。他に読売新聞による2000年の「読者の選ぶ21世紀に伝えるあの一冊」のアンケート調査で、翻訳ドキュメント部門第3位となったとされる。

■まとめ

「それでも人生にイエスと言う」ヴィクトール・E・フランクル著の読書メモを紹介しました。参考になれば嬉しいです。

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こうちゃん
●このブログについて 2017年4月にこのブログを開設しました。 人生100年時代といわれています。 アクティブシニアという言葉は65歳~75歳を指して言うらしいですが、 それより若い世代は、「新大人世代」というそうです。 http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/26938 アクティブな新大人世代を迎えている人達を応援しつつ、 自分自信も生涯挑戦をモットーとし、成長マインドセットをもって 価値のある情報を提供していくことを目的としています。 ●ミッション: ・健康維持、家族の幸せ、少しでも他の人に役に立つことをする ・本、旅、芸術、仲間に会うこと等からの学びをインプットして、  日々0.2%の成長を目指します。 ・体験し、学び、感じたことをアウトプットし、新大人世代を中心に価値のある  情報発信を目指します。 ●趣味 ゴルフ/ウォーキング/筋トレ/瞑想/読書/料理/美術鑑賞/旅/室内楽演奏 ●仕事 2016年4月に還暦を迎え、2nd Lifeがスタートしました。 某研究機関で翻訳の仕事をしています。 1stライフでは、企業でエンジニア、マネージャーを経験しました。
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