国内でも外国でも、見知らぬ方からいただいた親切はずっと記憶に残るものですね。
旅先の出会い、ふれあいは、旅の楽しみを倍増します。
■プラハでの失敗
2016年の初秋にプラハを訪れた時のことです。
国立歌劇場の近くに宿をとり、開演30分前には着く時間をみはからって、
徒歩で会場へと向かいました。
少し足を進めると、道路を挟んで真向いに19世紀に建てられたという
壮観な美しい建物が真ん前にそびえ立っています。
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ふと、異変に気づきました、開演30分前だというのに、入口付近の人影が数える程です。
一抹の不安をかかえたまま、横断歩道を小走りに渡ってみると、
タキシードに身を包んだ30代ぐらいの紳士が2人、困惑した表情をしています。
英語でどうしたんですかと話かけてみたら、我々夫婦と同様に会場を間違えたと
綺麗な英語で答えてくれました。
どうも地元の人じゃなさそうです。
■忘れられない親切
「ここじゃなくて、『国民劇場』のようです。
よかったら、今車を呼ぶので、いっしょに乗っていきますか?」
となんともご親切なお言葉。
「ありがとうございます。そうさせていただきます」と答えて待っていると
タクシーかなと思ったら、なんと話題のUBERでした。
日本では馴染みがないですが、米国の他チェコにもあったんですね。
iPhone画面を見せてくれて、「今この辺だからあと数分で着きそうです。」
おおー、今どこにいるかが一目瞭然で便利。と感心してると車が到着。
そそくさと乗り込んで、話をしたら、
お2人とも米国カリフォルニア州から旅行でプラハに来てるとのこと。
そうこうしてると5分程度で目的地に到着。
やれやれ、と会場のドアを開けて、係りの若い女性に
今日の演目ヴェルディ作曲「ナブッコ」のチケットを提示しました。
すると、この演目はここではなく、「カーリン劇場」ですよ
とのお言葉に、2度びっくり。
UBERの車は行ってしまった後です。
劇場入口近くに停車していたタクシーで、その2人のアメリカ人と再び乗り込んで、
カーリン劇場へ。
時計を見ると間もなく開演時間。やば、始まっちゃう。
10分程度かかりましたが、すごく長い時間に感じました。
お2人に感謝して別れを告げ、席に着きました。
10分ほど遅れてしまい、序曲は聞けませんでしたが、オペラを充分堪能しました。
それにプラスして、心がほんわかと温まりましました。
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日本ではコンサートホールはあまたあれど、オペラ劇場は、
大都市東京でも数えるほどしかありませんから。
まさか人口125万人ほどのプラハに4つもオペラ劇場があるとは、
日本の常識が通用しないことと、
こちらではオペラが市民に根差した文化であることを学びました。
調べてみると、「国立歌劇場」以外にも「国民劇場」、「エステート劇場」、
「カーリンミュージックシアター」があるようです。
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自らの事前確認不足の失敗から、かえって忘れられない体験ができラッキーでした。
■旅先での出会い
旅先での出会いや触れ合いは、とっても素敵な思い出として記憶にとどまってくれます。
他にも、今でも思い出すのは、
その次の日の夜、プラハのレストランで
となりの席のご婦人に地下鉄の駅の方向を聞いた時です。
歩いてもすぐだからと、わざわざホテルまでいっしょにエスコートしてくれて、
20分程度歩きながらお互いの話をしたこと。
今年の7月にヴェローナのB&Bで、ベルリンから来たという40代のご夫婦と
朝食を共にしながらお話をしたこと。
ローマのあるホテルでワインテイスティングサービスに参加して出会った
フィンランドからこられたIT企業の50代の男性と
話込んでしまったこと。などなど。
やはり最も印象深いのは、どこの馬の骨ともわからない私たちに対して、
親切にしていただいた経験です。
こんな時英語は欧州圏でもほぼ通じるので便利です。
ある程度話せないと不安という方も、会話は無理と思ってらっしゃる方も、
旅の楽しみが増えることをモチベーションにして、
簡単な日常会話にトライしてみてはいかがでしょう。
旅先でいただいたご親切は、いつか日本を旅する外国の方にお返ししたいものです。